飛び出せ学校

新聞作りで地域“再発見”/スタートから11年 116校が「挑戦」飛び出せ学校のバックナンバー

「古里・緒方のよさを再認識することができました」と小沢了子教諭
「子どもたちにとって大きな財産になりました」と語る矢野由美教諭

 「新聞を知ろう、新聞記者になろう、新聞を作ろう」と2003年5月にスタートした「飛び出せ学校・大分合同小学生新聞」。これまでに掲載した学校は7月で116校となりました。本年度も10校が参加し、子どもたちによる新聞作りが始まっています。
 「飛び出せ学校」は、小学生(主に5、6年生)が地域を調べ、問題を考え、新聞にまとめる活動を通じて古里を見詰め直す企画です。始めてから新聞の完成まで3~4カ月ほどかかります。
 新聞作りの授業は、大分合同新聞社の本社・県内支局の取材担当記者が参加校に出向いて行う「導入授業」で始まります。
 歴史・文化・産業など参加校が選んだテーマについて、子どもたちは記者と一緒に学び、考えます。取材の仕方や原稿の書き方を記者から教わった後、学校から地域へ飛び出し、取材をします。調べたことや地域の方から聞いた話の中から伝えたいことを絞り込んで原稿にまとめます。
 原稿が出来上がると整理担当記者が学校へ出向きます。子どもたちは記者から紙面レイアウトの基本を学び、グループで話し合って見出しを考えます。目を引く紙面、分かりやすい紙面にしようと、カラフルなイラストや見出しを制作。グラフや図表も付けるなどの工夫をします。
 子どもたちの希望を生かしながら新聞社で紙面を作り、最終チェックをして新聞は完成します。地域の魅力を満載した「飛び出せ学校・大分合同小学生新聞」は月1回発行。第4土曜日の夕刊に掲載します。


大きな達成感を得た
豊後大野市緒方小
小沢了子教諭

 緒方小学校の子どもたちは、緒方のことが大好きです。昨年、豊後大野市が日本ジオパークに認定されました。「すごいな古里・緒方」と思うことの連続です。「飛び出せ学校」の取り組みは、古里・緒方を自慢しようということから始まりました。
 自分たちが誇りに思い、多くの人に知らせたい祭りや文化財を新聞にしようと取材していきました。その中で、今まで知らなかった石橋のすごさや石風呂、祭りの伝統を守るために地域の方々がいろいろな取り組みをしていることを知ることができました。こうした地域の方々や先人の思いを知ったことが、記事やイラストを作成するときに役立ちました。
 また、取材したことを分かりやすく伝えるためにはどのようにすればよいのか、読みたいと思ってもらえるような見出しはどうあればよいのかを、グループで意見を出し合い、何度も書き直し、推敲(すいこう)を重ねて仕上げていきました。新聞作りは初めてだったので、学校に教えに来ていただいた記者の方のお話は子どもや私にとって学ぶことが多かったです。
 出来上がった新聞を見て、子どもたちは大満足。「すごいな」「いいのができた」と感嘆の声を上げていました。大きな達成感を得ることができ、古里・緒方のよさを再認識することもできました。いつも本校を見守ってくださり、取材活動にも協力していただいた方々に心から感謝します。ありがとうございました。


つながりが深まった
大分市南大分小
矢野由美教諭

 「南大分の魅力って何だろう」。意欲的に取り組んだ「飛び出せ学校」の活動は、子どもたちにとって大きな財産になりました。それは、活動を通して三つのつながりを持ち、深めることができたからだと感謝しています。
 一つは「いにしえとのつながり」です。南大分は、古墳時代に大和王権と深いつながりを持つ有力豪族の大型建物が小学校の場所に建っていたこと、その後も恵まれた地形を生かし農業や商業が盛んだったこと、交通の要衝だったことなどが分かりました。いにしえの人の生活や思いに触れ、机上の学習だけでは分からない深い歴史学習ができました。
 二つ目は「地域とのつながり」です。南大分に昔から大切に守られてきたお地蔵様があります。そこに秘められた願いまで大切に守り続けている地域の方の思いや、やさしさに触れることができました。
 三つ目は「友達とのつながり」です。子どもたちは意見の違いから衝突することがありました。しかし、その度に各班のリーダーや副リーダーを中心に話し合い、より良い内容に工夫したり、絆を深めたりすることができました。
 たくさんの伝えたい内容を限られた字数にまとめ、一目で内容が分かる見出しを考えたことも貴重な経験でした。出来上がったきれいな紙面を見た子どもたちのうれしそうな顔は今でも忘れられません。子どもたちには、多くのつながりの中で生きているということを、これからも大切にしてほしいと願っています。


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