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全国学力テスト 読み取る力に課題一般記事バックナンバー

全国学力テスト 大分県の教科別結果

 31日に公表された全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果で、大分県は小中とも国語は全国平均をやや上回り、算数・数学は全国並みだった。学習方針「新大分スタンダード」など独自の学力向上対策の成果がみられる一方、児童の資料やデータを読み取る力などに課題が浮かんだ。

 小学校の国語は全国平均を上回ったものの、前回2019年度の県内と比べて下がった。資料を読み、要約する問題でつまずきがみられた。算数もデータの特徴や傾向を読み取る「データの活用」の正答率が低く、県教委義務教育課は「問題を読み取る分野で課題ができた」。

 中学校の数学は、数学的な見方や考え方が必要な問題を全国と比べて解けなかった。

 小学校では19年度から中学校のように「教科担任制」を一部で実施。今回のテストは導入している学校で正答率が高い傾向があったという。県中部の小学校で教える男性教諭(32)は「教科担任制は得意な分野の授業に集中できる。全教科の準備をする時間が必要ない分、個人指導にも時間を割ける」と話す。県教委は導入校を増やしていく方針だ。

 大量退職などで教員に若手が増えていることも課題。「スキルアップを含め対策を強化していく必要がある」として、昨年度から始めたベテラン教員らが若手に授業の進め方を助言する取り組みなどに力を入れていく。

 テスト結果は詳細に分析し、対策に反映させる。義務教育課は「授業に教員や友人との対話を取り入れる機会も増やし、深く広い学習の在り方を目指す」と説明している。 


昨年のコロナ休校中「計画的に学習」小66%、中35%

 全国学力テストに合わせて実施した質問紙調査では、新型コロナウイルス禍の学習状況を児童生徒と学校に聞いた。

 昨年の臨時休校中、「計画的に学習を続けられた」と答えた県内の小学生は66・2%に対し、中学生は35・6%だった。いずれも全国平均並みだが、中学生の低さについて県教委義務教育課は「小学生よりやるべき課題が多く、計画通りに進めることが難しい生徒もいたのではないか。タイムスケジュール管理をどうするか、考える必要がある」とする。

 家庭学習になった際のICT(情報通信技術)活用に関して、「無線LANなど通信環境が整っていなかった」と答えた小学校は88・9%(全国82・2%)、中学校は84・1%(同79・5%)と、いずれも全国より多かった。

 学校再開後、学習内容の定着が不十分な児童生徒に補習をした小学校は63・9%(同46・4%)、中学校は58・0%(同38・8%)。全国と比べてフォローがしっかりしていた。

 感染収束の見通しが立たない中、県教委は「通信環境は家庭や市町村ごとにばらつきがある。再び臨時休校になる可能性も想定し、子どもたちが平等に利用できる対策を考える」と話している。 

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